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vol.56【学・健康】 自律神経と鍼灸治療 〜ツボで整う、心と身体のバランス〜

  • 執筆者の写真: - 鍼仙人 - 高山 昌大
    - 鍼仙人 - 高山 昌大
  • 3月22日
  • 読了時間: 5分

更新日:3月26日

「ストレスで眠れない」「動悸が続く」「胃が重たい」 それは、単なる体調不良ではなく“自律神経のアンバランス”が根底にある可能性があります。

自律神経とは、交感神経と副交感神経が拮抗しながら生命活動を維持する、自律的(autonomic)な神経ネットワーク。 現代医学では、脳の視床下部がその中枢とされ、ホルモン系・免疫系との密接な連携が明らかになっています。

一方、東洋医学では「五臓六腑」や「気血水」「陰陽」の乱れが、自律神経の失調に相当するとされます。 たとえば、怒りや抑うつは“肝”を傷つけ、動悸や不安は“心”の不調、慢性疲労は“腎虚”といった診立てがなされます。

今回は、この“見えにくい神経バランス”を整えるための鍼灸アプローチについて、専門的視点とわかりやすい言葉で解説していきます。



【1. 自律神経失調の東西医学的解釈】


現代医学では、自律神経失調症という診断名は明確に定義されているわけではありませんが、 以下のような症状群がよく見られます:


  • 動悸・めまい・頻脈

  • 胃腸障害(過敏性腸症候群・機能性ディスペプシア)

  • 睡眠障害(中途覚醒・入眠困難)

  • 慢性疲労・倦怠感・気分の落ち込み


これらは、交感神経優位状態(sympathetic dominance)が持続することで副交感神経の働きが抑制され、内臓機能・睡眠・ホルモン分泌などが乱れることで起こります。

東洋医学では、


・「肝鬱気滞(かんうつきたい)」:ストレスにより気が巡らず

・「心脾両虚(しんぴりょうきょ)」:心と脾が弱り、血が不足

・「腎陰虚(じんいんきょ)」:生命力が低下し、のぼせ・不眠に


といった証が用いられます。

これらの証に応じて、ツボや経絡を用いてバランスを取るのが鍼灸の考え方です。



【2. 鍼灸治療が作用するメカニズム】


鍼刺激は、皮膚・筋膜・腱・関節包などの体性組織に存在する機械受容器を介して、 求心性神経(主にAδ線維、C線維)を通じて中枢神経系に伝達されます。

この刺激は、脊髄後角→脳幹→視床下部→大脳辺縁系へと投射され、


・副交感神経活性化(vagal activation)

・視床下部-下垂体-副腎系(HPA axis)の正常化

・エンドルフィンやオキシトシンなど神経ペプチドの放出


といった反応を通じて、自律神経の恒常性維持(homeostasis)に貢献します。


特に注目されているのが、迷走神経(vagus nerve)の調節機構。

耳鍼や胸鎖乳突筋周囲の刺激は、迷走神経系を活性化し、 消化促進・心拍変動(HRV)改善・不安感の軽減につながると報告されています。



【3. voyage.式・自律神経調整ツボ】


当サロンでは、東洋医学の弁証論治(体質・証に基づく診断)をベースに、 その方の“今の状態”に合ったツボを選び、微細な刺激で調整していきます。


🔸 百会(ひゃくえ):督脈上の要穴。脳内循環・精神安定に。

🔸 神門(しんもん):心経の兪穴。心悸・焦燥・イライラに。

🔸 太衝(たいしょう):肝経の原穴。ストレス性の緊張・怒りに。

🔸 内関(ないかん):心包経。動悸・吐き気・不安定な気分に。

🔸 足三里(あしさんり):胃経の合穴。全身の気力・消化吸収力UPに。


また、温灸や耳つぼ(神門・交感・皮質下)も併用し、 “交感神経優位”から“副交感神経モード”への移行をサポートします。



【4. まとめ:神経も、気も、“めぐり”を整えることが大切】


自律神経の不調は、検査では異常が見つからない“未病”状態。 でも、体と心は確かに悲鳴をあげています。

鍼灸は、その微細な声を丁寧に受け取り、神経系・経絡系の両面からアプローチすることができる療法です。


わかりにくい不調こそ、わかってくれる場所で。 あなたの内なるリズムを取り戻す、最初の一歩を共に整えていきましょう。

voyage.では、 身体の声を丁寧に聴きながら、 東洋医学と現代の知恵を融合させたケアをお届けしています。




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『鍼仙人』院長 高山 昌大

施術歴16年/87,000人以上の施術実績。

プロアスリートや著名人の施術経験も豊富。

鍼師・灸師・柔道整復師・機能訓練士・登録販売者・調理師など、

多岐にわたる国家資格を保有。

鍼灸・柔整・構造医学・東洋医学をはじめとする幅広い知識と手技を融合。

「施術は科学であり、芸術である」を理念に、心身の真の調和を追求。



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