vol.89【素問】五神の乱れを診る“診察術”〜目・声・舌・気配から五臓の心を読む〜
- - 鍼仙人 - 高山 昌大
- 3月24日
- 読了時間: 5分
更新日：3月27日
「怒りっぽくなった」「ぼーっとしてる」「急に涙もろい」——こうした精神・感情の揺らぎを、“不定愁訴”や“ストレス反応”で片づけていませんか？
東洋医学では、感情・意志・思考・精神は五臓に宿る“気の働き”＝五神（魂・神・意・魄・志）として明確に捉えます。
そして何より重要なのは、それらの乱れを**“からだのサイン”から読み取る診察術**があることです。
今回は、施術者が“言葉になる前の心の乱れ”を見抜くための東洋的視点を、五神に基づいて解説します。
【1. 診察の4ステップ ＝ 四診合参】
古典における「診る力」は、以下の4つの柱で構成されます。
→ 四診を通じて「五神のバランス（＝心の深層）」を見抜くことが、“本当の原因”に触れる第一歩となります。
【2. 五神ごとの“乱れのサイン”を読み取る】
→ 魂は“目”、神は“光”、意は“動き”、魄は“呼吸”、志は“重心”に現れる。これらを総合的に観察することで、臓腑に宿る心＝五神の不調を浮き彫りにできる。
【3. 鍼仙人式：観察→診断→施術への展開】
✅ Step 1：見抜く
「目に力がない」→ 心の神が消耗している？「表情が乏しい」→ 肺気・魄の働きが弱っている？「落ち着きがない」→ 肝・魂の暴走か？
✅ Step 2：結びつける
表情＋声＋舌＋脈＋問診内容をクロスチェック
心の乱れを、気血津液・臓腑・経絡の乱れに翻訳する
✅ Step 3：施術につなげる
神：心兪・神門・内関（精神安定）
魂：太衝・肝兪・百会（情動コントロール）
意：足三里・脾兪・中脘（思考調整）
魄：中府・膻中・太淵（感覚と呼吸）
志：命門・太渓・腎兪（意志とエネルギー）
【4. 五神を診るとは、「その人の生き方」を診ること】
五神の乱れは、単なる感情ではなく「氣の使い方のクセ」
“言葉にならない”領域で起きている変調に気づけるかどうかが、施術家の力量
鍼灸とは、「心の気配に触れる技術」でもある
【まとめ：目と舌と声の奥に、“五臓のこころ”が宿る】
五神を読むには、望・聞・問・切を“感情のレイヤー”で捉えること
症状だけでなく、表情・話し方・息・肌・目の奥に“氣の偏り”を見つける
それが、本当の意味での「東洋医学的診断」＝“気の流れを見る目” である
次回は、vol.90【古典】「まとめ：五神の調律と鍼灸の未来へ」へ進みます。
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『鍼仙人』院長 高山 昌大施術歴16年／87,000人以上の施術実績。プロアスリートや著名人の施術経験も豊富。鍼師・灸師・柔道整復師・機能訓練士・登録販売者・調理師など、多岐にわたる国家資格を保有。鍼灸・柔整・構造医学・東洋医学をはじめとする幅広い知識と手技を融合。「施術は科学であり、芸術である」を理念に、心身の真の調和を追求。
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