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vol.80【素問】同病異治・異病同治とは?〜個別最適な治療思考法〜

  • 執筆者の写真: - 鍼仙人 - 高山 昌大
    - 鍼仙人 - 高山 昌大
  • 3月24日
  • 読了時間: 5分

更新日:3月27日

東洋医学には、西洋医学にはない独特の診断哲学があります。その代表的なものが、「同病異治(どうびょういち)」と「異病同治(いびょうどうち)」

これらは単なる理論ではなく、人それぞれの「からだとこころの構造」を捉えて治療を最適化する“治療哲学”です。



【1. 同病異治とは?】


同じ病名・症状でも、原因や体質が違えば治療法も変えるという考え方。

例えば「頭痛」。西洋医学では「緊張型頭痛」「片頭痛」などと分類されるが、東洋医学ではもっとパーソナライズされた判断を行います。


🧠 東洋医学的な頭痛の“証”の例:


症状の背景

治療法

肝陽上亢

ストレス・怒り → 上に昇る熱

肝を瀉す+腎を補う

血虚頭痛

血の不足で脳が栄養されない

養血・補脾

瘀血阻絡

古傷・外傷・慢性炎症

活血化瘀+通絡

風寒犯頭

外からの寒さ → 筋収縮

散寒・解表


→ 全員「頭が痛い」と訴えても、“原因と証が違えば治療法はまったく異なる”のが東洋医学の強み。



【2. 異病同治とは?】


違う病名・症状でも、根本の原因が同じなら同じ治療でよいという考え方。

これは「見かけの違い」にとらわれず、病の“本質”をつかむ発想です。


🧠 例:「腎虚」が本質にある複数の症状


病名

症状

共通の証

治療方針

不妊症

排卵障害・生理不順

腎精不足

補腎・養精

耳鳴り・めまい

慢性的な感覚異常

腎陰虚・精不足

補腎陰・潜陽

慢性腰痛

疲れやすい・冷え

腎陽虚

補腎陽・温補


→ 見た目の病名は異なっても、「腎が弱っている」という共通原因にアプローチする。



【3. なぜこの考え方が重要なのか?】


✅ 症状を“表面的に”捉えない

→ 患者の言葉や病名に振り回されず、本質(証)を観る力が磨かれる


✅ オーダーメイド治療が可能になる

→ 同じ症状でも“その人だけに合った施術”ができる→ 違う訴えでも“同じ証に効く治療”で複数の問題が同時に改善


✅ 臨床力が飛躍的に高まる

→ 施術が“ルーティン”ではなく、“創造的な対話”に変わる



【4. 鍼仙人の実感:患者の“声なき声”を聞くための武器】


多くの施術家は、表面的な情報に惑わされがちです。しかし「同病異治・異病同治」を軸に持っていると、目の前の症状に振り回されず、“本質”を見抜くことができる。


例えば、


  • 「生理痛と肩こり」→ 実は同じ瘀血が原因

  • 「便秘と不眠」→ 気虚+気滞の同時発症


このように、“つながり”を診られる施術家は、治し方も一貫してブレないのです。



【5. 実践応用:診断例とツボの選び方】


🧩 同病異治の施術例:不眠

ツボ

補瀉

心血虚

心兪・三陰交・神門

補法・養血安神

心火亢進

少府・心兪・大陵

瀉法・清心火

肝鬱化火

太衝・行間・百会

理気・清熱

腎陰虚

太渓・照海・心兪

補腎陰・滋陰安神


🧩 異病同治の施術例:腎虚が根にある複数の症状


症状

ツボ

施術意図

耳鳴り・めまい

太渓・腎兪・翳風

腎精を補い、耳の気の調整

不妊・月経不順

関元・命門・三陰交

腎精・天癸を活性化

冷え・慢性疲労

命門・大赫・足三里

腎陽を温め、気を補う


【まとめ:東洋医学の“柔らかい眼”を持つ】


  • 同病異治:症状が同じでも“人が違えば治療も違う”

  • 異病同治:症状が違っても“本質が同じなら治療も同じ”

  • 患者を「病名」で診るのではなく、「証」で診ることが真の東洋医学的思考


次回は、この“証”の捉え方をもっと具体的に深掘りしながら、「弁証論治」の構造に入っていきます!



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東洋医学の知恵を込めた、心に触れるやさしいケアをお届けします。



『鍼仙人』院長 高山 昌大施術歴16年/87,000人以上の施術実績。プロアスリートや著名人の施術経験も豊富。鍼師・灸師・柔道整復師・機能訓練士・登録販売者・調理師など、多岐にわたる国家資格を保有。鍼灸・柔整・構造医学・東洋医学をはじめとする幅広い知識と手技を融合。「施術は科学であり、芸術である」を理念に、心身の真の調和を追求。



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