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vol.172【霊枢】脈診とは何か?〜手首の奥にある“生き様”〜

  • 執筆者の写真: - 鍼仙人 - 高山 昌大
    - 鍼仙人 - 高山 昌大
  • 3月28日
  • 読了時間: 6分

手首に、人生が宿っている──。

東洋医学の診察法で最も奥深く、最も神秘的とも言える脈診(みゃくしん)。現代人からは「手首で何がわかるの?」と思われるかもしれないが、『霊枢』には、脈診が氣・血・臓腑・神志までをも把握する術として体系化されている。

今回は鍼仙人の診立てを通して、“脈を診る”という行為の本質に迫っていこう。



【1. 『霊枢』における脈診の立ち位置】


『霊枢・邪客篇』より:


「寸口の脈は、五臓六腑の氣を見て知るところなり」

つまり、脈とは──


  • 心拍ではなく、“氣の流れ”そのもの

  • 身体の内にある氣血の動き、五臓の状態、神志の変化を映す鏡


3本の指で診る寸口脈は、以下のように対応する:


位置

表層(氣)

中層(血)

深層(臓腑)

寸(親指側)

心包

関(中央)

尺(小指側)

腎陽

腎陰

膀胱・子宮


鍼仙人の思考:


「脈は、氣の呼吸。命の音を聴き、リズムを読む。それが脈診だ。」


【2. 脈の“質”が語る、氣の状態】


脈の形・速さ・力・深さによって、氣の状態はまったく異なる。


脈象

意味

浮脈

表邪・氣の過剰・熱/防衛モード

沈脈

内寒・虚証・氣の沈降/疲労・冷え

数脈

熱・陽盛・交感神経優位

遅脈

寒・陰盛・副交感神経優位

虚脈

正氣不足・氣虚・血虚

実脈

邪氣の存在・氣滞・炎症傾向


複合的に読むことで、氣血の量、五臓の偏り、情緒の状態までが明らかになる。


鍼仙人の格言:


「脈は“氣の指紋”。似ているようで、同じものは二つとない。」


【3. 鍼仙人式・脈診5ステップ術】


診る目的を定める(何を知りたいのか?)→ 疲れの原因?冷えの根源?精神の乱れ?

三指の配置を整える(寸・関・尺)→ 左手:心・肝・腎 右手:肺・脾・命門系

浅・中・深の三段階で質を感じる→ 表裏・氣血・臓腑の層構造を読む

左右差を比較する(陰陽のバランス)→ 肝実脾虚/腎陰虚肺熱/心腎不交 など

“生命の調和”があるかを探る→ 単に病を見るのではなく、“氣の和音”を感じ取る


鍼仙人の哲学:


「脈診とは、氣と氣が対話する行為。術者の氣が静かでなければ、命の声は聴こえない。」

【4. 脈診は“処方を導く羅針盤”】


脈診の最大の意義は、ツボ・刺法・補瀉・順序の“決定的根拠”を与えてくれること。


例:

■ 尺部沈+虚 → 腎精不足 → 補腎法(太谿・関元・腎兪)

■ 寸浮+実 → 肺実・表邪 → 発散法(合谷・風池・肺兪)

■ 関滑+数 → 肝火上炎 → 瀉肝法(太衝・陽陵泉・行間)


鍼仙人の診立て:


「脈は、氣の地図。そこにこそ、“どこへ鍼を打てばいいか”が刻まれている。」


【5. 🔚まとめ:脈を診るとは、“命の在り方”を診ること】


脈診は、症状を見る技術ではない。その人がどう生きてきたか、どう氣を使い、今どこに滞っているのか──それを、ただ静かに指先で感じ取る技術である。


鍼仙人はこう結ぶ:


「脈は、命の音。それを聴ける術者だけが、氣を導き、魂を癒せる。それが、東洋医学の“静かなる医術”である。」

📘次回は【霊枢シリーズ】vol.173「舌診・腹診と五臓のつながり」について解説していきます。身体の“表”に現れた内臓の氣──舌と腹が語る、五臓の真実とは?




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『鍼仙人』院長 高山 昌大

施術歴16年/87,000人以上の施術実績。

プロアスリートや著名人の施術経験も豊富。

鍼師・灸師・柔道整復師・機能訓練士・登録販売者・調理師など、多岐にわたる国家資格を保有。氣の診断力を極め、“命の音”に寄り添う治療を行っています。


🟡典拠(霊枢より):

・『霊枢・邪客篇』

・『霊枢・九鍼十二原篇』

・『霊枢・本臓篇』






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