vol.168【霊枢】氣とは何か？〜霊枢が描く“生命の本質”〜
- - 鍼仙人 - 高山 昌大
- 3月28日
- 読了時間: 5分
氣。すべてはここから始まる。
東洋医学のあらゆる診断、治療、思想の根幹には、この**「氣（き）」という存在**がある。
けれど、それは見えない。掴めない。──だからこそ、深く、広く、感じる必要がある。
今回は『霊枢』の記述と、鍼仙人の思考から、氣とは何か？ なぜ、我々は氣を診るのか？東洋医学の根幹にして永遠の問いに迫っていく。
【1. 『霊枢』における“氣”の定義とは】
『霊枢・本神篇』より：
「人の生、氣をもって成り、氣絶すれば死す」
『霊枢・邪客篇』では：
「氣は身の守りなり」
つまり氣とは──
命の根源
防御の力
身体を動かし、治し、感じさせる力
“生きている”という状態そのもの
鍼仙人の視点：
「氣とは“命のリズム”である。見えぬが、常にそこに在り、全てを巡らせている。」
【2. 氣は“生成・循環・変化”するエネルギー】
氣は止まっていない。常に、生まれ、動き、変化し、消えていく。
■ 生成： - 脾胃 → 飲食から「水穀の氣」 - 肺 → 空氣から「清氣」 - 腎 → 先天的な「元氣・精氣」
■ 循環： - 経絡を通り、五臓六腑・四肢百骸へ - 昼夜・陰陽に合わせて上昇・下降・出入する
■ 変化： - 血・津液・精・神へと姿を変える - 熱になり、寒を払う／静かに沈み、神を支える
鍼仙人の格言：
「氣は、形を変える“生命の錬金術師”。だから診るべきは、“氣の変化の軌跡”である。」
【3. 氣の“分類”で見える世界の構造】
種類 | 説明 | 主な生成源 |
元氣 | 先天の氣、生命力の核 | 腎・精氣 |
宗氣 | 呼吸と脈を動かす氣 | 肺と心の連携 |
營氣 | 血と共に栄養を運ぶ氣 | 脾胃の運化 |
衛氣 | 体表を守るバリアの氣 | 肺と腎の精から |
正氣 | これらすべてを統合した“防衛・治癒”力 | 総合的な氣 |
つまり、氣とは“多層的な生命システム”でもある。
鍼仙人の思考：
「氣を分類できる者は、氣を操作できる。氣を分類せずに触れる者は、氣に流される。」
【4. 鍼仙人式・氣を診る5つの入口】
❶ 脈診：氣の“リズム”を見る
❷ 舌診：氣の“質”を観る
❸ 皮膚・声・姿勢：氣の“出口”を探る
❹ 腹診：氣の“溜まり”と“動き”を感じる
❺ 問診：言葉の裏にある“氣の偏り”を聴く
氣はあらゆるところに現れる。そして、氣を整えれば血も動き、神も鎮まる。
鍼仙人の哲学：
「氣とは、手ではなく“心で診るもの”。氣に触れるとは、命に触れるということだ。」
【5. 🔚まとめ：“氣を診る”は、“生き方を診る”ということ】
氣とは、エネルギーであり、秩序であり、生きることそのものである。
その氣をどう育て、どう整え、どう使うか──そこに、東洋医学の真の治療哲学がある。
鍼仙人はこう結ぶ：
「氣とは、命の“音”である。その音を聴き、その波に添って治す。それが、鍼灸であり、東洋医学であり、魂の医術である。」
📘次回は【霊枢シリーズ】vol.169「氣の生まれる場所とは？〜脾胃・腎・肺に宿る氣の生成法則〜」について解説していきます。“氣をどう育てるか？”──命の燃料を作る三大臓器の連携に迫ります。
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『鍼仙人』院長 高山 昌大
施術歴16年／87,000人以上の施術実績。
プロアスリートや著名人の施術経験も豊富。
鍼師・灸師・柔道整復師・機能訓練士・登録販売者・調理師など、多岐にわたる国家資格を保有。“氣”を読む、整える、導く──それが、鍼仙人の臨床哲学です。
🟡典拠（霊枢より）：
・『霊枢・本神篇』
・『霊枢・邪客篇』
・『霊枢・海論篇』
・『霊枢・五味篇』
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