vol.160【霊枢】経絡と臓腑のリンクとは？〜なぜそのツボが効くのか〜
- - 鍼仙人 - 高山 昌大
- 3月26日
- 読了時間: 5分
更新日：3月28日
「その症状に、このツボが効きます」──東洋医学の臨床ではよく語られる定番フレーズ。
だが、なぜそのツボなのか？ただの経験則ではない。その根底には、『霊枢』が描いた“経絡と臓腑をつなぐ理論構造”がある。
ツボは単なる点ではない。それは氣の流れる道＝経絡上に存在し、臓腑と通信するための“氣のハブ”である。
今回は鍼仙人の視点から、なぜそのツボが効くのか──氣の回路図を解き明かそう。
【1. 経絡とは何か？〜氣の“通路”であり、“臓腑の声”である〜】
『霊枢・経脈篇』において、経絡は
「気血が行き交い、百病がこれによって生ず、これによって治す」とされている。
経絡は、五臓六腑の氣血が通る道。その数は「正経十二脈」に始まり、「奇経八脈」や「絡脈・経別・経筋」なども含めると無数に広がる。
つまり経絡は──
臓腑と皮膚・筋肉・感覚器官をつなぐルート
病邪の侵入や治癒の“通り道”
ツボによってアクセスできる“氣の制御路”
鍼仙人は語る：
「ツボは点ではない。それは氣の交差点であり、経絡という“道の構造”の一部である。」
【2. ツボと臓腑のリンク：それぞれの“親子関係”を知れ】
たとえば──太衝（たいしょう）というツボは、足の甲にあるが、肝臓と密接に関連する。なぜか？→ そこは肝経の“原穴”であり、肝の氣が発動する起点だから。
また──合谷（ごうこく）は手にあるが、顔面部や大腸とリンクする。→ 陽明大腸経の要穴であり、顔〜腸まで氣が通じているから。
ツボはその所属する経絡＝臓腑との氣のルートを通して効く。そこを刺激することで、内臓の機能や氣の偏りに“間接アクセス”できるのだ。
鍼仙人の視点：
「ツボとは、“遠隔操作端子”である。氣を動かし、内臓を再起動させる“氣のスイッチ”なのだ。」
【3. 氣のルート構造：経絡は“上・下・内・外”をつなぐ】
東洋医学のすごいところは、ツボの位置と、効果の出る場所が一致しないこと。
手のツボで目を癒す
足のツボで便通を整える
背中のツボで内臓を調整する
なぜなら、経絡は上下・表裏・左右・遠近を自在に結ぶ“氣の回路”だから。
『霊枢・経脈篇』では、「陽経は頭面に集まり、陰経は胸腹に集まる」とあるように、氣の通路は“内外の循環システム”として設計されている。
鍼仙人の格言：
「ツボは近くを診るな。氣は巡る。回路の先に“効き目”がある。」
【4. ☯️ 鍼仙人式・なぜこのツボ？を読み解く３ステップ】
どの臓腑を動かしたいか？ → 肝？脾？腎？ターゲットを明確に。
その臓腑に通じる経絡はどこか？ → 例：肝→足厥陰肝経／腎→足少陰腎経
氣の流れを“どの位置”で調整すべきか？ → 原穴？絡穴？背部兪穴？募穴？遠隔点？
たとえば肝の症状なら──
太衝（原穴）：氣の根本を整える
行間（栄穴）：炎症・熱をさます
肝兪（背部兪穴）：臓腑レベルの調整
期門（募穴）：前面から直接アクセス
「ツボは、“どこを・どのように”動かすかのデザイン。その意図がなければ、ただの点に過ぎぬ。」
【5. 🔚まとめ：“氣の構造”を診る者に、ツボは応える】
ツボが効く理由──それは経絡が氣の道だから。そして、臓腑がその道を通じて外界とつながっているから。
鍼仙人はこう結ぶ：
「氣の構造を理解した者に、ツボは“語りかける”。そして、氣の道筋を示してくれる。」
📘次回は【霊枢シリーズ】vol.161「補瀉の思想と操作〜鍼灸技術の哲学〜」について解説していきます。補う、引く──その一刺しに込める“思想と技術”とは？氣を操る鍼灸の真髄に迫ります。
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『鍼仙人』院長 高山 昌大施術歴16年／87,000人以上の施術実績。プロアスリートや著名人の施術経験も豊富。鍼師・灸師・柔道整復師・機能訓練士・登録販売者・調理師など、多岐にわたる国家資格を保有。鍼灸・構造医学・東洋哲学を融合し、“氣の構造設計”に基づいた施術を追求しています。
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・『霊枢・経脈篇』
・『霊枢・終始篇』
・『霊枢・五変篇』
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