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vol.154【霊枢】正氣と邪氣の戦いとは?〜免疫と未病の視点〜

  • 執筆者の写真: - 鍼仙人 - 高山 昌大
    - 鍼仙人 - 高山 昌大
  • 3月26日
  • 読了時間: 5分

更新日:3月27日

東洋医学では、健康とは「氣の均衡」であり、病とは「氣の破れ」だとされる。その中で最も根本的かつ重要なテーマが──

正氣(せいき)と邪氣(じゃき)の戦い。

『霊枢』では、病気の発生には「外から入る邪氣」と「内なる正氣」との戦いがあるとされる。この戦いが起こる“氣の戦場”こそ、東洋医学の「免疫観」であり、現代医学の“自己防衛機能”にも重なる、深遠な概念なのだ。

今回は、鍼仙人の視点で、この氣の攻防戦を読み解いていこう。



【1. 正氣とは何か?〜身体を守る“内なる軍隊”〜】


『霊枢・本蔵篇』では、正氣を「五臓六腑の精氣の結集体」とし、邪氣に対抗できる“生命の守り”と位置づけている。


  • 正氣は、元氣・宗氣・衛氣・営氣などの総体

  • 肺が指揮をとり、脾が補給を支え、腎が後方を支援

  • 外邪が入っても、正氣が強ければ病にならない


これは、現代でいう免疫・自律神経・恒常性維持機能と近い。


鍼仙人は語る:


「正氣とは、君主なき軍隊。誰にも見えぬが、常にあなたを守っている。」

【2. 邪氣とは何か?〜病を引き起こす“外なる侵略者”〜】


『霊枢・邪客篇』では、六淫(風・寒・暑・湿・燥・火)を邪氣の代表とし、身体のバランスを乱す外からの異物・環境因子と定義している。

また、過労・ストレス・暴飲暴食など内から生まれる邪氣(内邪)もある。つまり、邪氣とは「氣の流れに反するもの」──身体を“乱すものすべて”が邪氣となり得る。

鍼仙人の見立て:


「邪氣はいつもそこにいる。だが、正氣が揺らがねば、入る隙などない。」


【3. 正邪の攻防とは?〜氣の“防衛ライン”をどう保つか〜】


氣の防衛ラインは三段階ある:


  1. 表層:衛氣による防御(肌表・鼻・喉)

  2. 中層:営氣による調和(筋・経絡)

  3. 深層:元氣・臓腑による根本治癒力


■ 正氣が勝てば → 邪氣は外に出される(汗・咳・下痢・涙)

■ 邪氣が勝てば → 身体の内奥へ侵入し、慢性症状・機能障害へ移行


鍼仙人の診立てでは、防衛の層を見極めて、刺法や補瀉を決定する



【4. ☯️ 鍼仙人式・氣の防衛術:“未病”を診る力】


東洋医学の強みは「未病を治す」こと。

つまり、「まだ病気ではないが、氣のバランスが崩れ始めている段階」に対し、正氣を高め、邪氣の侵入を防ぐことができる


  • 外邪が入りそうなとき → 肺・衛氣を補う

  • 内邪が生まれそうなとき → 脾胃・肝の氣を整える

  • 精神ストレス → 心・腎の安定を図る


鍼仙人は断言する:


「未病は氣のささやきである。聴こえる者だけが、“病にならぬ人”となる。」


【5. 🔚まとめ:氣の戦いとは、“日常の選択”そのもの】


正邪の攻防は、特別な状況で起きるものではない。それは、毎日の食事・睡眠・感情・習慣の中で起きている氣の戦い。

鍼仙人はこう結ぶ:


「病とは、氣の決壊である。だが、あなたの中には常に“氣の守り手”がいる。それが正氣。育てよ、正氣。それが未病を制し、命を輝かせる鍵である。」

📘次回は【霊枢シリーズ】vol.155「病邪の伝変ルート〜内から外へ、外から内へ〜」について解説していきます。氣の乱れはどこから入り、どう深くまで侵入するのか?“病の動き”を見極めるヒントをお届けします。


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『鍼仙人』院長 高山 昌大

施術歴16年/87,000人以上の施術実績。

プロアスリートや著名人の施術経験も豊富。鍼師・灸師・柔道整復師・機能訓練士・登録販売者・調理師など、多岐にわたる国家資格を保有。

鍼灸・構造医学・東洋哲学を融合させ、“氣を守る医学”を実践しています。


🟡典拠(霊枢より):

・『霊枢・邪客篇』

・『霊枢・本蔵篇』

・『霊枢・刺節真邪篇』




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