vol.113【霊枢】九鍼とは何か?〜道具に込められた東洋の設計思想〜— 鍼とは、氣に触れるための“意識の延長”である —
- - 鍼仙人 - 高山 昌大
- 3月25日
- 読了時間: 6分
更新日:3月26日
現代の鍼灸では、主に「毫鍼(ごうしん)」一本を使って施術を行うのが一般的です。しかし、古代中国で記された『霊枢・九鍼十二原篇』では、なんと九種類の鍼具が使い分けられていたと記されています。
それぞれの形状・目的・操作法には、ただの道具以上の“氣の思想”が込められていました。本記事では、「九鍼」を通じて、古代の鍼灸師たちがどのように氣と身体を観ていたのかを紐解いていきます。
【1. 九鍼とは何か?名前と特徴一覧】
まずは『霊枢』に登場する九つの鍼の種類とその特徴を見てみましょう。
名称 | 形状 | 用途 | 現代的応用 |
鑱鍼(ざんしん) | 刃のように平たい | 切開・放血・皮膚の熱を取る | 刺絡、瀉血 |
員鍼(いんしん) | 丸い先端 | 軽く按圧・氣の調整 | 指圧・タッチセラピー的操作 |
鍉鍼(ていしん) | 丸く尖ってない棒状 | 経絡の調整・氣の導引 | 接触鍼・小児鍼 |
鋒鍼(ほうしん) | 三角形状の鋭い先端 | 瘀血除去・膿出し | 瘀血処理・皮膚刺激 |
鈹鍼(ひしん) | 刃付きの細い刃物 | 切開・排膿 | 手術用具に近い |
圓利鍼(えんりしん) | 丸くて鋭い | 深部の腫れ・熱取り | 炎症性疾患 |
毫鍼(ごうしん) | 細く長い(現代の主流) | 経絡やツボへの刺入 | 現代鍼の標準形 |
長鍼(ちょうしん) | 非常に長い | 深層部の治療(臀部や深筋) | トリガーポイント鍼灸に類似 |
大鍼(だいしん) | 太く短い | 関節部の瀉法 | 関節炎・腫脹処理 |
☯️ 鍼仙人の観点:
鍼は“氣を動かすための筆”。その筆先を、症状・体質・氣の質に合わせて選び、書き分けることが“鍼の道”である。
【2. なぜ九種類も必要だったのか?】
霊枢時代の鍼灸師は、身体の状態を氣・血・津液・精・神の視点で把握していました。それゆえに「切る」「抜く」「接触する」「氣を導く」「滞りを抜く」など、目的に応じたツールが必要不可欠だったのです。
たとえば:
鍉鍼 → 鍼を刺さずに氣だけを調整(小児や虚証)
鑱鍼 → 皮膚表面の熱を“逃す”操作に使用(熱証)
長鍼・大鍼 → 深部の瘀血や冷えを“抜く”ときに用いる
これはまさに、“氣の質”と“鍼の形”を対応させる哲学といえるのです。
【3. 九鍼の設計思想=氣の操作マトリクス】
九鍼は、それぞれが「氣の動かし方のバリエーション」そのものです。
操作意図 | 使用鍼 | 説明 |
接触のみ | 鍉鍼・員鍼 | 氣を導く・穏やかに調整 |
浅く刺す | 毫鍼・圓利鍼 | 経絡上の滞り解除 |
深く刺す | 長鍼・大鍼 | 筋肉・腱・深部瘀血への対応 |
切る・抜く | 鑱鍼・鋒鍼・鈹鍼 | 放血・排膿・熱瀉 |
このように、“鍼の形”によって“氣の操作”が変わる――これが霊枢における「術としての鍼」の真髄です。
【4. 現代における九鍼の活かし方】
現代ではすべての鍼を常用しているわけではありません。しかし、霊枢的思想を応用すれば:
鍉鍼 → 接触鍼・小児鍼・タッチケア
鑱鍼 → 刺絡・瀉血療法
長鍼 → トリガーポイント療法
毫鍼 → 現代の主力鍼(浅刺・深刺・透刺など応用自在)
つまり、“氣の性質に合わせて鍼を使い分ける思想”は、今もなお臨床に活きているのです。
☯️ 鍼仙人の視点:
鍼灸師の技とは、“一本の鍼で九鍼の意を使う”ことである。刺さなくても氣は動く。切らなくても氣は流れる。大切なのは、氣を観る眼と、操作する意識である。
🔚まとめ:鍼は「道具」ではなく「意の延長」
九鍼に込められたのは、単なる機能性ではありません。そこには――「氣と身体をどう捉えるか」という、深い思想があった。
鍼を変えれば、世界の観え方が変わる。形を選べば、氣との関係が変わる。そこに“術”が生まれる。
九鍼とは、東洋医学という芸術の“筆先”なのです。
📘次回予告:次回は「刺法五変とは?〜深さ・速度・方向から読む氣の舞〜」をお届けします。氣の流れに合わせて“どのように刺すか”――古代の鍼灸師たちが重んじた刺法の美学を解説します。
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〜 鍼灸治療 × 整体 × 美容エステ 〜
“一本の鍼に、九通りの氣を宿す。”
隠れ家のようなプライベートラウンジで、
東洋の叡智を手先に込めてお届けしています。
『鍼仙人』院長 高山 昌大
施術歴16年/87,000人以上の施術実績。
プロアスリートや著名人の施術経験も豊富。
鍼師・灸師・柔道整復師・機能訓練士・登録販売者・調理師など、多岐にわたる国家資格を保有。鍼灸・柔整・構造医学・東洋医学をはじめとする幅広い知識と手技を融合。
「施術は科学であり、芸術である」を理念に、心身の真の調和を追求。
🟡 典拠(古典より):
《霊枢・九鍼十二原篇》:「鍼之九法、各有所宜、所病不同、故為九也」
《霊枢・本神篇》:「凡刺之道、必察陰陽、明於五蔵」
《霊枢・官鍼篇》:「鍼者、所以通閉結、散鬱熱、取痺着者也」

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