vol.294【傷寒論】六経分類を“氣の流れ”で読み解く：氣象学としての東洋医学
- - 鍼仙人 - 高山 昌大
- 4月4日
- 読了時間: 5分
東洋医学の本質は、“氣の流れ”を観ることにある。
『傷寒論』が説く六経分類──太陽・陽明・少陽・太陰・少陰・厥陰。 これは単なる病名の分類ではない。 氣の進行・変化・崩れ方を示した「氣象の地図」なのだ。
今回は、六経を“氣の流れの構造”として再構成し、 臨床においてどう活かすかを鍼灸的視点で整理していく。
【1. 六経とは「氣の時間軸」】
六経分類は、身体の部位を表すだけではない。
太陽：表層の防衛ライン
陽明：消化器を中心とした中軸の熱
少陽：半表半裏＝氣の循環スイッチ
太陰：氣血の生成と内臓機能
少陰：命の中心・心腎の氣
厥陰：氣の反転・再構成のステージ
▶️これらは時間の流れ＝病の進行・回復の順序として読める。 つまり、六経とは「氣の時間地図」なのだ。
【2. 鍼灸で氣の変化をどう読むか】
六経を氣の層と見ると、
どの層で氣が止まっているか？
どこから氣を動かすべきか？
という診断と戦略の視点が明確になる。
例えば：
太陽＝肩背部の緊張・防衛反応
陽明＝胃腸の熱、便秘、顔の赤み
少陽＝肋骨下部のつまり、気分の上下
太陰＝食欲不振・だるさ・脾虚
少陰＝深部の冷え、不眠、無気力
厥陰＝気分の乱高下、上熱下寒
これを立体的に捉え、施術点を設計することで、治療は「氣の再構築作業」となる。
【3. 六経診断は“氣のステージ診断”】
同じような症状でも、
表層の熱なのか？（太陽）
内熱の滞りか？（陽明）
氣のリズムの乱れか？（少陽）
というように、「氣の階層」を見抜く必要がある。
このときこそ、六経の視点が効く。 つまり、六経分類は“症状の分析軸”ではなく、 氣象の診断フレームなのだ。
【4. 鍼灸の使命は「氣のリズム」を取り戻すこと】
症状を止める、痛みを取る──その先にあるのは、 「氣が本来の流れを取り戻す」ことである。
六経それぞれに応じた施術で、
詰まりを抜き
足りなさを補い
方向性を修正する
それが鍼灸の本質的な技であり、氣象調律の術である。
☯️ 鍼仙人は語りかける：
六経とは氣の航路。どの港に停まり、どの流れに乗るか。 それを読む目を持つ者だけが、真に氣を動かせる。
🔚まとめ：
六経分類は氣の構造・時間軸・層の分類図である
病の進行・回復も、氣の流れとして読める
鍼灸とは、氣象学を用いた氣の再設計である
🎯今日から活かせる一言：
流れの階層を知れば、治療の羅針盤が現れる。
📘次回予告：
次回からは「傷寒論の治法」をテーマに、発汗・瀉下・和解など、鍼灸に応用すべき“操作の原理”を深掘りしていきます。
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氣の階層を読み、流れを整える“氣象調律刺鍼”をお届けします。
『鍼仙人』院長 高山 昌大
施術歴16年／87,000人以上の施術実績。
プロアスリートや著名人の施術経験も豊富。 鍼師・灸師・柔道整復師・機能訓練士・登録販売者・調理師など、多岐にわたる国家資格を保有。 氣脈走査術、経絡調律法、頭項導引鍼、外邪遮断刺鍼──太陽経を操るための臨床術を日々研磨している。
施術は科学であり、芸術である。 氣は触れ、響き、流れる──その一手が世界を変える。
🟡典拠：『傷寒論』
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