vol.244【難経第四十九難】なぜ左手と右手で診るのか？〜陰陽と臓腑配当の秘密〜
- - 鍼仙人 - 高山 昌大
- 4月1日
- 読了時間: 4分
左手は心を、右手は肺を。
鍼灸師なら誰もが知る“左右の脈の違い”。 だが、その根拠はどこにあるのだろうか？
『難経』第四十九難では、脈診における「左右の手の配当」について明確に述べられている。 それは単なる慣習ではなく、陰陽と臓腑の哲学に基づいた診断体系なのだ。
【1. 左右の脈は、陰陽の対】
東洋医学において：
左＝陽経（実の気） → 心・肝・腎
右＝陰経（虚の気） → 肺・脾・腎
とされる。
つまり、
左手＝陽の氣の状態を診る
右手＝陰の氣の状態を診る
というのが、脈診における基本的視座である。
【2. 左右の寸・関・尺に配される臓腑】
『難経』では、寸口脈を以下のように配当する：
左手
寸：心
関：肝
尺：腎（陽）
右手
寸：肺
関：脾
尺：腎（陰）
このように、左右の手を陰陽・臓腑の鏡として捉えることで、身体全体の氣のバランスを把握できる。
【3. 臨床における“左右診断”の意味】
左の寸が強ければ → 心熱／肝鬱の可能性
右の関が虚すれば → 脾虚／消化力低下
左右ともに尺が沈む → 腎陽虚 or 腎陰虚
このように、左右の脈診は“陰陽の崩れ”を可視化する診断法である。
さらに：
左右のバランス＝氣の偏り
上下のバランス＝経絡の通行
という視点で観察すれば、氣血の全体像が立体的に浮かび上がってくる。
☯️ 鍼仙人はこう観る：
左右とは、陰陽の対話である。 左が語り、右が応じる。 脈の響きは、身体の中で交わされる静かな会話。 それを読み取れるかどうかが、術者の深さである。
鍼仙人はこう考える：左右の脈は、氣の揺らぎの地図。 どこに陰が傾き、どこに陽が満ちているのか。 その微差を感じることが、診断の本質だ。
🔚まとめ
脈を左右で診る理由──それは、陰陽と臓腑の対話を聴き取るため。 診断とは、氣の均衡を“手で読む”技術なのである。
今日から活かせる一言：左右の脈に、氣のバランスが語られている。
📘次回予告
次回は、vol.245【難経第五十難】表証と裏証の見分け方とは？〜氣の深さで読む疾の所在〜をお届けします。 “浅い病か、深い病か”──氣の層で読み取る東洋医学の真髄に迫ります。
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『鍼仙人』院長 高山 昌大
施術歴16年／87,000人以上の施術実績。
プロアスリートや著名人の施術経験も豊富。
鍼師・灸師・柔道整復師・機能訓練士・登録販売者・調理師など、多岐にわたる国家資格を保有。鍼灸・柔整・構造医学・東洋医学をはじめとする幅広い知識と手技を融合。
「施術は科学であり、芸術である」を理念に、心身の真の調和を追求。
🟡典拠
『難経』第四十九難
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