vol.219【難経二十四難】氣逆とは何か？〜上衝・咳・げっぷ・吐き気のメカニズム〜
- - 鍼仙人 - 高山 昌大
- 3月31日
- 読了時間: 5分
氣は上に昇り、下に降り、身体を巡る。だがその流れが逆転したとき──身体にはさまざまな“逆のサイン”が現れる。
咳やげっぷ
吐き気やしゃっくり
のぼせや頭痛
胃の張りや喉の違和感
東洋医学では、これらを総じて「氣逆（きぎゃく）」と呼ぶ。
難経二十四難では、この氣逆の概念と診断法が語られる。本稿では氣逆とは何か？を、臨床と哲学の両面から解き明かしていく。
【1. 氣は“順に流れる”のが原則】
東洋医学における氣の流れには、「方向性」がある。
肺氣は下降し、腎に向かう
胃氣は降り、小腸へと導く
肝氣は横に拡がり、疏泄を担う
この“氣の順化”が崩れると、咳、吐き気、のぼせなどの氣逆が起こる。
つまり氣逆とは、氣の方向が乱れた状態である。
【2. 代表的な氣逆症状とは】
氣逆の起こる臓腑と主な症状：
肺氣逆 → 咳・喘鳴・息切れ
胃氣逆 → げっぷ・吐き気・しゃっくり・胃の膨満感
肝氣逆 → 頭痛・怒り・月経異常・のぼせ・めまい
“氣の逆流”は、単なる生理反応ではなく、内的なアンバランスの表現なのである。
【3. 鍼灸による氣逆の整え方】
氣逆を治す鍼灸の基本は、“氣の順化”である。
主な経穴と作用：
中脘・足三里・内関 → 胃氣を降ろす
太衝・百会・肝兪 → 肝氣の疏泄と鎮静
尺沢・膻中・列欠 → 肺氣の調整と鎮咳
氣の方向が整えば、体内の摩擦は静まり、症状はすっと消えていく。
☯️鍼仙人の哲学：
鍼仙人は氣逆を“心の内圧”とみる。感情がうまく排出されないと、その熱が氣の上衝として現れる。「氣を鎮めること」は、「心に静寂を取り戻すこと」なのだ。
【4. 鍼仙人としてのまとめ】
氣逆は、氣の乱れであると同時に、感情・食生活・生活リズムなど日常のバランスの崩れを映し出す鏡である。
だからこそ鍼仙人はこう考える：
「氣が逆るとき、心の声が聞こえる」
🔚まとめ
咳、げっぷ、吐き気──症状の奥に、“氣の流れの逆行”がある。
それを見抜き、整えることが、東洋医学における真の治療である。
今日から活かせる一言：氣が逆るとき、身体は“内なる声”を放っている。
📘次回予告
次回は、vol.220【難経二十五難】「五臓の氣はどこで交わる？〜“會”の概念と中焦の秘密〜」
氣の流れが交差する“中焦”という舞台。その機能と重要性に迫っていきます。
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“氣が逆るとき、静けさが道を拓く”
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氣の流れと心の調律を整える施術をお届けします。
『鍼仙人』院長 高山 昌大
施術歴16年／87,000人以上の施術実績。
鍼師・灸師・柔道整復師・機能訓練士・登録販売者・調理師など多数の国家資格を保有。
「施術は科学であり、芸術である」を理念に、氣血の流れを整え、心身の統合を導く。
🟡典拠
『難経』第二十四難／『霊枢・病伝篇』／『素問・逆調論篇』
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