vol.245【難経第五十難】表証と裏証の見分け方とは?〜氣の深さで読む疾の所在〜
- - 鍼仙人 - 高山 昌大
- 4月1日
- 読了時間: 4分
同じ頭痛でも、皮膚のすぐ下で起きているものもあれば、 内臓の深部に根をもつものもある。
東洋医学ではそれを「表証」「裏証」と分け、 “病の深さ”によって治療の方向を変える。
『難経』第五十難は、この表裏の判断を氣の層でどう読み取るかを明確に示している。
【1. 表証とは、浅い層の病】
表証は、体表近くに現れる病態。
風邪(ふうじゃ)による頭痛・悪寒・発熱
筋肉層・皮膚・経絡上の反応
氣が身体の“外”で乱れている状態
つまり、外邪が侵入し始めた“初期反応”として捉えるのが表証である。
→ 治療は「発散」や「疎風」を中心に。
【2. 裏証とは、深い層の病】
裏証は、体内深くに根をもつ病態。
内臓の虚実や氣血の偏り
倦怠感・食欲不振・便秘・腹痛など
表には出にくく、“内にこもる”病の形
氣の流れが“裏”で滞ると、体外には明確な反応が出にくく、 「なんとなく不調」の原因不明な症状として現れやすい。
→ 治療は補氣・整腸・温補などのアプローチ。
【3. 表裏の見極め方:氣の深さを見る】
『難経』では、 「表証は寸口にて浮き、裏証は沈む」と説かれる。
浮脈 → 表証(邪気が表にある)
沈脈 → 裏証(邪気が深く潜む)
つまり、氣の“上下・浅深”の動きを脈で読み取るのがポイントである。
さらに:
発症の早さ → 表証(急性)/裏証(慢性)
症状の広がり → 表証は全身/裏証は局所や深部
というように、氣の動きの“広さ・深さ・速さ”で見極めていく。
☯️ 鍼仙人はこう観る:
表とは風のような病。 裏とは大地に沈むような病。 表裏の違いは、氣の音色の違いでもある。 それを“聴く”ために、術者の手と感性が問われるのだ。
鍼仙人はこう考える:氣の層を読むことは、病の根を掴むこと。 深さを誤れば、施術は響かない。
🔚まとめ
表証と裏証は、病の所在と深さの見極め。 氣の層で読むことで、治療の方向性が明確になる。
今日から活かせる一言:氣は、浅いか、深いか──それが、治療の分かれ道。
📘次回予告
次回は、vol.246【難経第五十一難】臓腑の氣の通路とは?〜“陰陽五臓の氣の循環”〜をお届けします。 氣がどう通り、どう循環するか──臓腑間の氣の流れに迫ります。
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『鍼仙人』院長 高山 昌大
施術歴16年/87,000人以上の施術実績。
プロアスリートや著名人の施術経験も豊富。
鍼師・灸師・柔道整復師・機能訓練士・登録販売者・調理師など、多岐にわたる国家資格を保有。鍼灸・柔整・構造医学・東洋医学をはじめとする幅広い知識と手技を融合。「施術は科学であり、芸術である」を理念に、心身の真の調和を追求。
🟡典拠
『難経』第五十難

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