vol.288【傷寒論】太陰病の氣象：虚と冷えの奥にある“芯の弱り”
- - 鍼仙人 - 高山 昌大
- 4月4日
- 読了時間: 4分
太陰病──それは、氣が静かに沈み、熱もなく、目立たない。 だがその静けさの中にこそ、真の危機が潜んでいる。
今回は、太陰病という“内なる虚冷”の氣象を、鍼灸の臨床視点で深く掘り下げる。
【1. 太陰とは「氣の根っこ」】
太陰＝脾と肺の組み合わせ。
脾：氣血を生む「土」
肺：氣を巡らせる「金」
この二臓の働きが弱ると、
全身に力が入らない
消化が落ち、胃脘が重だるくなる
呼吸が浅く、氣が全身に巡らない
つまり太陰病とは、“氣の生成力”そのものが失われた状態である。
【2. 太陰病のサイン──静かな不調】
太陰病の特徴は「静かに不調が進行する」こと。
腹が冷えて痛む（喜按）
下痢や軟便が続く
食欲がなく、すぐ疲れる
顔色が青白い・無気力・眠気が強い
これは「氣が燃えない」「氣が作れない」状態。
🔥ではなく、🕯️──氣の灯が弱々しく揺れているイメージだ。
【3. 鍼灸で氣の“芯”を立て直す】
太陰病では、“補う”ことが基本。
脾兪・肺兪・中脘・足三里：氣の源を支える
関元・気海・命門：生命力の根を温める
合谷・太白・陰陵泉：氣血の生成・運搬ラインを調整
「強くする」ではなく、 “静かに燃やす”──それが太陰病への鍼灸の基本姿勢である。
【4. 臨床での氣象の読み取り】
脈：沈・緩・虚
舌：淡白・胖大・白苔
腹：全体が柔らかく、へその周りが冷えている
患者の口数も少なく、訴えも少ない。 しかし、“氣の芯の弱り”に耳を澄ませると、 その静けさの中に、深い虚の氣象が流れているのがわかる。
☯️ 鍼仙人は語りかける：
太陰の氣は、静かに、深く、弱く、しかし確かに燃えている。 その灯を守り、芯を育てる──それが鍼灸の真の力だ。
🔚まとめ：
太陰病は脾肺の氣の低下による、氣の生成力の弱化
冷え・無力感・食欲不振など、“静かな虚”がサイン
鍼灸では“補い・温め・整える”が基本
🎯今日から活かせる一言：
虚の氣象は、沈黙の中にある。その声なき声に触れよ。
📘次回予告：
次回は「太陰経と脾・肺の氣のルート」──氣の生成ラインをどう活かすか？を探っていきます。
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『鍼仙人』院長 高山 昌大
施術歴16年／87,000人以上の施術実績。
プロアスリートや著名人の施術経験も豊富。 鍼師・灸師・柔道整復師・機能訓練士・登録販売者・調理師など、多岐にわたる国家資格を保有。 氣脈走査術、経絡調律法、頭項導引鍼、外邪遮断刺鍼──太陽経を操るための臨床術を日々研磨している。
施術は科学であり、芸術である。 氣は触れ、響き、流れる──その一手が世界を変える。
🟡典拠：『傷寒論』
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