vol.247【難経第五十二難】臓腑の氣の偏りとは？〜五臓の虚実を診る〜
- - 鍼仙人 - 高山 昌大
- 4月1日
- 読了時間: 4分
氣が満ちすぎれば、実。 氣が足りなければ、虚。
これは単なる量の話ではない。 『難経』第五十二難は、五臓それぞれの“氣の偏り”をどう診断し、どう整えるかを示した重要な篇だ。
【1. 虚とは、氣が不足している状態】
氣の虚は、以下のように現れる：
脈が細く、力がない（虚脈）
顔色が白く、元気がない
呼吸が浅く、話すのも億劫
これは「氣」が不足して臓腑が十分に働けず、 “機能としての生命力”が弱まっている状態を指す。
→ 補氣・温補・養生が中心となる施術が必要。
【2. 実とは、氣が過剰に滞っている状態】
氣の実は、以下のように現れる：
脈が強く緊張（実脈）
顔が赤く、怒りっぽい
身体に張りや痛みがある
これは「氣」が滞留して鬱積し、 “氣の過剰反応”として臓腑に負担をかけている状態である。
→ 瀉法・理氣・疎通を使ったアプローチが有効。
【3. 虚実の本質は“氣の調和”】
難経では、「臓腑の虚実は、脈にそのまま現れる」と説く。
心の実 → 動悸・不眠・イライラ
肺の虚 → 息切れ・汗が止まらない
肝の実 → 怒り・胸脇部の張り
脾の虚 → 食欲不振・疲れやすい
腎の虚 → 下半身の冷え・腰痛
臓ごとに“氣の偏りの出方”が異なるため、 その響きを診る眼力＝診断力が問われる。
☯️ 鍼仙人はこう観る：
氣の虚実は、量の問題ではなく、響きの問題。 足りなくても、流れていればよい。 満ちていても、詰まっていれば病となる。 診断とは、その“響きの歪み”を感じ取ることだ。
鍼仙人はこう考える：氣が語る臓の言葉を、術者は翻訳するだけ。 虚でも、実でも、そこには叫びがある。
🔚まとめ
臓腑の虚実とは、氣のバランスの偏り。 その診断と調整が、治療の核心である。
今日から活かせる一言：氣は、溜まりすぎても、足りなすぎても、病む。
📘次回予告
次回は、vol.248【難経第五十三難】心と腎の関係とは？〜上下の火水を繋ぐ氣〜をお届けします。 “心火と腎水の交流”という氣の循環の要を、東洋医学的に紐解きます。
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『鍼仙人』院長 高山 昌大
施術歴16年／87,000人以上の施術実績。
プロアスリートや著名人の施術経験も豊富。
鍼師・灸師・柔道整復師・機能訓練士・登録販売者・調理師など、多岐にわたる国家資格を保有。鍼灸・柔整・構造医学・東洋医学をはじめとする幅広い知識と手技を融合。
「施術は科学であり、芸術である」を理念に、心身の真の調和を追求。
🟡典拠
『難経』第五十二難
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