vol.264【難経第六十九難】子母補瀉の原則とは?〜氣の親子関係と治療の理
- - 鍼仙人 - 高山 昌大
- 4月1日
- 読了時間: 6分
「なぜ、肝の虚に腎を補うのか?」「心の実に脾を瀉すのか?」 そんな疑問に、古典は明快に答える。
『難経』第六十九難。 それは、五行における“氣の親子関係”に触れた一節。
“虚すれば母を補い、実すれば子を瀉す”—— この原則が、私たちの施術の奥行きを深めてくれる。
見える症状だけでなく、氣の関係性に目を向ける。 その先に、本当の調和があるのだと。
今回は、そんな古典の叡智に耳を澄ませてみよう。
【1. 子母補瀉という叡智】
東洋医学の真髄は、個々の臓腑を診るのではなく、 その“つながり”に目を向ける点にある。
『難経』第六十九難が語る「虚すれば母を補い、実すれば子を瀉す」とは、 症状の背後にある“氣の親子関係”を見抜く知恵である。
これは単なるテクニックではない。 氣の流れの中に生まれる力のバランスを整える、 極めて繊細かつ本質的な臨床判断なのである。
【2. 五行から読み解く氣の循環】
木火土金水——。 五行は自然界の理であると同時に、人体の氣の循環図でもある。
例えば、肝が虚すれば、母である腎の氣が足りていない可能性がある。 心が実すれば、子である脾に過剰な負担がかかっているかもしれない。
このように、“臓器の症状”をそのまま診るのではなく、 五行の中での“前後関係”として診ることで、 治療の視野は一気に広がる。
【3. 診断における“氣の連環”を観よ】
氣は、一か所に滞るのではない。常に“巡って”いる。
つまり、ある臓が虚しているとき、そこだけが原因とは限らない。 母が弱って子が虚す。子が実して母が疲弊する。
診断とは、この“氣の連環”を丁寧に追いかける作業だ。 舌や脈、問診だけでなく、その人の生き方や氣質からも、 母子関係のバランスを読み解くことが求められる。
【4. 補うとは、根に潤いを与えること】
「母を補う」とは、どういうことか。 それは単に“増やす”ことではなく、 根に水を与え、土壌を耕すようなものだ。
腎が肝を生む。脾が肺を育てる。 その“生む力”を支えるために、補うのだ。
補法は、静かで、深い。音のない処に響かせる。 だからこそ、母の氣を感じ取れる手が求められる。
【5. 瀉すとは、過ぎた流れを整えること】
一方、「子を瀉す」とは、過剰な氣の奔流を抑えること。 それは、暴れ川に堤防をつくるような治療である。
子が実すれば、母が疲れる。 その関係性を読み取り、過ぎたものを調える。
瀉法は、攻撃ではなく調律。 強さではなく“節度”が鍵となる。
【6. 子母補瀉は、氣の倫理である】
“虚すれば母を補い、実すれば子を瀉す”。 それは技術ではない。氣の流れにおける“倫理”である。
氣は、独立して存在するものではなく、 必ず“誰か”に与え、“誰か”から受け取っている。
だからこそ、補瀉の選択とは、 氣の関係性に対する“責任”なのだ。
臨床家は、氣の流れを調える役目を担う。 それは単に体調を整える以上に、 “人と人の関係性”をも読み解くということでもある。
☯️ 鍼仙人の哲学:氣は流れ、繋がり、めぐる
鍼仙人はこう観る: 「氣とは、独立した存在ではなく、“関係性”そのものだ。 親が子を想うように、五行もまた互いを養い、制する。」
つまり臓腑は単体では存在できない。 そのつながりの“歪み”にこそ、病の種がある。
“氣の関係性”を診ること。 それは、東洋医学の核心であり、最も繊細で、最も力強い臨床技術である。
子は母に育まれ、母は子に力を与える。 この相生の関係は、氣の流れそのものだ。
では、なぜ“肝の虚に腎を補う”のか? なぜ“心の実に脾を瀉す”のか? その問いに答えられる者だけが、氣を動かすことができる。
氣は、単なるエネルギーではない。 それは臓腑の関係性における“道理”であり、“倫理”である。
母を補うとは、その人の“根”を潤すこと。 子を瀉すとは、“行き過ぎた枝葉”を剪定し、調和をもたらすこと。
古典が語る補瀉の法則は、いまもなお臨床の核心に息づいている。 そこに施術の軸がある。
鍼仙人はこう考える: 氣の診断とは、“力の流れ”の設計を読むこと。 それを誤れば、どんな技も響かない。
——施術とは、“氣の設計図”を読むことから始まる。
🔚まとめ
・虚証には母を補い、実証には子を瀉すという原則が『難経』で示されている・この子母関係は五行の流れのなかで“氣の調律”を可能にする・臨床では、症状の奥にある氣の関係性を洞察する眼が求められる
今日から活かせる一言:"治すとは、氣の関係を整えること。"
📘次回予告
次回vol.265では、呼吸と腎との深い関係性に焦点を当てながら、「吸気・呼気」と“氣の動き”の秘密を解き明かしていきます。
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〜鍼灸 × 整体 × 美容エステ〜
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『鍼仙人』院長 高山 昌大
施術歴16年/87,000人以上の施術実績。
プロアスリートや著名人の施術経験も豊富。
鍼師・灸師・柔道整復師・機能訓練士・登録販売者・調理師など、多岐にわたる国家資格を保有。操体法・筋膜リリース・頭蓋クラニオ・内臓調整・美容鍼・カイロプラクティック理論など、幅広い知識と手技を融合。
「施術は科学であり、芸術である」を理念に、心身の真の調和を追求。
🟡典拠
『難経』第六十九難

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