vol.258【難経第六十三難】氣血の虚実はどう違う？〜“本質の異常”と“運搬の異常”〜
- - 鍼仙人 - 高山 昌大
- 4月1日
- 読了時間: 4分
虚か、実か。 氣か、血か。
臨床の現場では、“氣血の虚実”をどう見極めるかが施術の方向性を決める。
『難経』第六十三難では、 氣と血、それぞれの虚実の本質的な違いについて明確に語られている。
【1. 氣と血の本質的な役割】
氣：推動・温煦・防御・固摂・気化など、“生命の動力”
血：滋養・濡潤・栄養・情緒安定など、“生命の物質”
→ 氣は「動かすもの」 → 血は「潤すもの」
つまり、氣は運搬のエネルギー、血は運ばれる本体
【2. 虚実の違いとは“何が異常なのか”】
種別 | 虚の特徴 | 実の特徴 |
氣 | 倦怠感・息切れ・氣力低下・寒がり | 張り・イライラ・氣滞・胸のつかえ |
血 | 顔色不良・めまい・不眠・乾燥・月経量減少 | 瘀血・刺痛・生理痛・肌のくすみ・舌が紫暗色 |
氣の虚実＝運ぶ力の過不足
血の虚実＝潤す量と質の異常
→ 両者は独立しているが、密接に連動する → 氣虚→血虚、氣滞→瘀血 へと波及しやすい
【3. 臨床応用：氣血の虚実に対するアプローチ】
氣虚 → 補氣（足三里・関元・中脘）＋温養・呼吸法
氣滞 → 疏肝理氣（太衝・内関・膻中）＋ストレスケア
血虚 → 補血・養血（三陰交・血海・肝兪）＋栄養指導・睡眠
瘀血 → 活血化瘀（膈兪・三陰交・天枢）＋温灸・軽い運動
→ 脈診・舌診・顔色・声のトーン・体表の質感などから、氣血の虚実を複合的に判断することが鍵。
☯️ 鍼仙人はこう観る：
氣は風。 血は水。
風が止まれば、水は淀み、 水が干上がれば、風も吹かない。
その繊細なバランスに触れられるかどうかが、真の技術である。
鍼仙人はこう考える：氣血の虚実とは、身体からの問いかけだ。 “何が足りず、何が巡らぬのか”── その答えは、触れた瞬間にこそある。
🔚まとめ
氣と血。 虚と実。 異常の“性質”が違うからこそ、施術も変わる。
今日から活かせる一言：氣は動き、血は潤す──そのバランスを読む手を持て。
📘次回予告
次回は、vol.259【難経第六十四難】五臓と血脈の関係とは？〜“心だけが血を司るのか”〜をお届けします。
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『鍼仙人』院長 高山 昌大
施術歴16年／87,000人以上の施術実績。
プロアスリートや著名人の施術経験も豊富。
鍼師・灸師・柔道整復師・機能訓練士・登録販売者・調理師など、多岐にわたる国家資格を保有。オステオパシー・経絡ストレッチ・クラニオフェイシャル・陰陽脈診・反射点調整・トリガーポイント療法などを組み合わせた統合施術で氣血の調律を実現。
🟡典拠
『難経』第六十三難
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