vol.209【難経十四難】五臓六腑の位置関係とは?〜東洋的“内臓解剖図”〜
- - 鍼仙人 - 高山 昌大
- 3月29日
- 読了時間: 5分
「肝はどこにありますか?」
こう聞かれたとき、現代医学なら肝臓の“解剖学的位置”を答える。 だが東洋医学では、“氣の流れ”と“臓腑の関係性”をもとに、 独自の臓器の配置──すなわち「東洋的内臓地図」が存在する。
難経第十四難では、五臓六腑の位置関係が詳細に語られている。
【1. 東洋医学の臓腑配置=氣の対話構造】
東洋医学の臓器配置は、機能や構造よりも、 氣の巡りと相互作用を重視している。
例えば:
心と肺は上焦に位置し、精神と氣の中枢を司る
肝と胆は中焦に位置し、氣の発動と疏泄を担う
脾と胃は中央で、氣血の源を生む
腎と膀胱は下焦に位置し、生命エネルギーの根本を保つ
このように、臓腑は物理的な場所ではなく、“氣の役割空間”として理解されるのだ。
【2. 難経の記述=臓腑の上下前後をどう観るか】
難経十四難では、臓腑の上下前後についても独自の表現がされている。
心は肺の上、舌に連なる
肝は左、胆は右
胃は脾の下
腎は背、命門を中心に陰陽に分かれる
この配置は、西洋解剖学的に見ると不一致に感じるかもしれない。 だがそれこそが、氣の概念に基づいた“動的内臓配置”なのである。
【3. なぜ“氣の配置図”が重要なのか?】
東洋医学では、臓腑は“氣の変換装置”であり、 その位置関係=氣の流れの設計図となる。
つまり:
肝→心→脾→肺→腎の“氣の流れ”
蔵象間のバランス関係
陰陽・表裏・五行の相互関係
すべてを立体的に捉えることで、 診察・治療・養生の全体像が見えてくるのである。
☯️鍼仙人の哲学
臓腑とは、“氣の営みの場”である。
解剖図ではなく、“氣の地図”を描くことで、 生命のリズムと調和を読み解けるようになる。
鍼仙人は、氣の流れを観る地図としての臓腑配置を、 すべての診察と施術の基盤としている。
【4. 鍼仙人としてのまとめ】
難経十四難に描かれた臓腑の位置関係は、 単なる器官の配置ではなく、 氣の流れとその方向性を示す哲学図である。
臓器を“構造物”として捉えるのではなく、 “氣の活動場”として立体的に把握する──
それこそが、東洋医学の核心的な視点である。
🔚まとめ
氣は、器の中に留まるのではない。臓腑は氣の“交差点”であり、氣の配置が命の設計図となる。
今日から活かせる一言:氣を観るには、臓を“場所”ではなく“関係性”で捉えよ。
📘次回予告
次回は、vol.210【難経十五難】「臓と腑、それぞれの氣の働きとは?〜陰陽と中庸の臓腑論〜」
“蔵と腑”という分類の深意に迫り、氣の質的違いを探っていきます。
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『鍼仙人』院長 高山 昌大
施術歴16年/87,000人以上の施術実績。
プロアスリートや著名人の施術経験も豊富。鍼師・灸師・柔道整復師・機能訓練士・登録販売者・調理師など、多岐にわたる国家資格を保有。鍼灸・柔整・構造医学・東洋医学をはじめとする幅広い知識と手技を融合。「施術は科学であり、芸術である」を理念に、心身の真の調和を追求。
🟡典拠:『難経』第十四難/『霊枢・脈度篇』/『素問・臓象論篇』

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