vol.282【傷寒論】太陽経と膀胱経・小腸経：氣の防衛ラインを診る
- - 鍼仙人 - 高山 昌大
- 4月4日
- 読了時間: 4分
背中は語る──その言葉を、鍼灸師だけが聴くことができる。
『傷寒論』における「太陽病」は、実際には“太陽経”の氣の乱れを指す。その太陽経とは、膀胱経と小腸経から成り、主に背部を通って身体を外邪から護る防衛ラインとなっている。
本稿では、太陽病における“氣の通り道”としての太陽経を、臨床の視点から再構築していく。
【1.】太陽経＝膀胱経と小腸経の総称
「太陽」とは、陽氣の最も外側にあり、外邪と最初に接触するライン。
膀胱経：後頭部〜項背〜背中〜下肢外側を走行し、氣を巡らせ体外を防御
小腸経：肩〜頸部〜顎〜顔面まで氣を持ち上げ、頭部を防衛
つまり、太陽経とは「後面〜背面〜頭部」の氣の流れをつなぐ、“氣のシールド”である。
【2.】なぜ背中に症状が出るのか？
傷寒論で太陽病が「項背強ばり・悪寒・頭痛」とされるのは、まさに膀胱経・小腸経が“邪氣の衝突ライン”だからである。
風門・大椎など背部兪穴に圧痛・緊張が出やすい
肩甲骨周囲に冷えや凝りが集中しやすい
頭項部の強張りは、小腸経のルートに沿った反応
このラインは、単なる筋肉の反応ではなく、“氣の乱れ”そのもの。ここを正しく読めるかどうかが、鍼灸の核心につながる。
【3.】太陽経を診る臨床眼とアプローチ
鍼灸師が太陽経を診るとき、重要なのは「氣の走行と、どこで詰まっているか」を観察すること。
風門・肺兪・膈兪・志室：膀胱経のポイントで氣を通す
天柱・風池・肩外兪：小腸経からの反応点を確認
頭部症状が強ければ小腸経、背中の緊張が強ければ膀胱経を優先
刺鍼方向も「背から頭」「背から足」へと、氣の引き出し方を調整することが大切。
☯️ 鍼仙人は語りかける：
太陽経とは、邪が触れる最初の境界。そこをどう診るかで、術者の氣の解像度が決まる。
背中は、何も語らぬようでいて、すべてを語っている──それを聴ける者こそ、真の鍼灸師である。
🔚まとめ：
太陽経＝膀胱経＋小腸経で構成される外防衛ライン
症状は後頸部・肩背部に集中し、氣の防御反応を示す
鍼灸では氣の詰まりと流れを捉え、経絡に応じた刺鍼が鍵となる
🎯今日から活かせる一言：
背中の緊張は、氣が戦っている証拠──そこに耳を澄ませよう。
📘次回予告：
次回は「太陽病の進行パターン」──表から裏へ、氣はどのように移行するのか？六経移行の“氣象学”を解説します。
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『鍼仙人』院長 高山 昌大
施術歴16年／87,000人以上の施術実績。
プロアスリートや著名人の施術経験も豊富。
鍼師・灸師・柔道整復師・機能訓練士・登録販売者・調理師など、多岐にわたる国家資格を保有。氣脈走査術、経絡調律法、頭項導引鍼、外邪遮断刺鍼──太陽経を操るための臨床術を日々研磨している。
🟡典拠：『傷寒論』
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