vol.226【難経第三十一難】“一脈の病”とは何か?〜診断の単位と全体観〜
- - 鍼仙人 - 高山 昌大
- 4月1日
- 読了時間: 4分
たったひとつの脈の異常。それを、どう診るか。
『難経』第三十一難は、一本の脈に病が現れたとき、それを「局所の異常」と見るべきか、それとも「全身状態の象徴」として捉えるべきか、という問いを提示する。
これは単に“脈の病変”をどう分類するかではない。 東洋医学がもつ「全体性」へのまなざしを、脈診という具体的手段の中でどう生かすか——その本質を問う一難である。
【1. 一脈の変化は“偏り”か“全体の縮図”か?】
脈は全身の氣血を映す。 ゆえに、ある一箇所の脈の変化は「その部位の病」とも読めるし、「全身の状態がそこに集中している」とも読める。
『難経』第三十一難では、こうした一脈の変化に対して「その脈が属する臓腑の病と見る」ことを推奨しているが、 同時に、それが全体と連動していることを見失ってはならないと警鐘を鳴らしている。
【2. 局所診断から全体診断へ——“脈の文脈”を読む】
たとえば、右尺部に沈んで重たい脈があるとする。 それを「腎の弱り」と捉えるのは合理的だが、 もし同時に他の脈も沈んでいれば、それは全体的な“氣沈”かもしれない。
つまり、「一脈の病」を診るとは、 他の脈と比較し、その“対比”の中で意味を見出すことなのだ。
診断とは、常に文脈を読む作業。 脈診においてもそれは変わらない。
【3. 臨床で使える“相対診断”の感覚】
この難経の教えは、臨床における「相対診断」の力を高める。
なぜこの脈だけ浮いているのか?
他は沈んでいるのに、ここだけが滑っているのはなぜか?
全体が実の中で、この一点が虚である意味は?
こうした「部分と全体の対話」こそが、東洋的診断の神髄だ。
☯️ 鍼仙人はこう観る:
一脈の変化に惑わされるな。 そこに全体の影が宿ることもあれば、ただの一過性の反応に過ぎぬこともある。 だからこそ、他の脈を聴け。全体の声を聴け。
鍼仙人はこう考える:診断とは、「偏り」ではなく「関係性」を見ること。 一脈に惑わされず、他の脈と“比べる感性”が、真の診断力を育てる。
🔚まとめ
一脈に惑わされず、全体を観よ。部分の中にこそ、全体が映る。
今日から活かせる一言:全体を診る力は、比較から生まれる。
📘次回予告
次回は、vol.227【難経第三十二難】診断の四つの道〜望聞問切の意味と重み〜をお届けします。 東洋医学の「四診」を、より深く臨床的に解き明かしていきます。

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氣は全体で鳴る楽器のようなもの。隠れ家のようなプライベートラウンジで、 偏りを調え、響きを取り戻す施術を。
『鍼仙人』院長 高山 昌大
施術歴16年/87,000人以上の施術実績。
プロアスリートや著名人の施術経験も豊富。鍼師・灸師・柔道整復師・機能訓練士・登録販売者・調理師など、多岐にわたる国家資格を保有。
鍼灸・柔整・構造医学・東洋医学をはじめとする幅広い知識と手技を融合。
「施術は科学であり、芸術である」を理念に、心身の真の調和を追求。
🟡典拠
『難経』第三十一難
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